
セファロ分析
頭部X線規格写真撮影を行い、各計測点と軸や平面を設定した後、それらがなす角度を計測し分析を行います。 ここでは実際に臨床現場で用いるDowns法と Northwestern法の角度分析法についてまとめました。
角度分析
計測角 | 定義 | 臨床的意義 |
顔面角 | 顔面平面(N-Pog)とFH平面のなす角度 | オトガイの前後的位置関係を表し、下顎が前突するほど増加する |
上顎突出度 | 直線N-Aと直線A-Pogとのなす角の補角 | A点が顔面平面よりも前方にあるときをプラス、後方にあるときをマイナスとし、オトガイに対する上顎歯槽基底部の前後的な位置関係を評価する。プラスの場合に上顎歯槽基底部が前方位、マイナスの場合にオトガイが前方を示す |
Y軸角 | Y軸(S-Gn)とFH平面のなす角度 | 下顎の前下方へ成長度合いを表し、下顎前突で減少する |
SNA角 | SN平面とNとAを結んだ直線のなす角度 | 脳頭蓋底に対する上顎歯槽基底部の前後的位置関係を表し、上顎前凸傾向で増加する |
SNB角 | SN平面とNとBを結んだ直線のなす角度 | 脳頭蓋底に対する下顎歯槽基底部の前後的位置関係を表し、下顎前突傾向で増加する |
ANB角 | NとA、NとBを結んだ直線のなす角度 | 上下顎の相対的な前後的位置関係を評価するもので、上顎前突でプラス、反対咬合ではマイナスとなる。 |
FMA (Mp to FH) | 下顎下縁平面とFH平面とのなす角度 | 下顎下縁平面の傾斜度を表す |
Gonial angle | Ramus planeとMandibular plaheのなす角度 | 下顎角の大きさを表す |
Interincisal angle | 上下中切歯歯軸がなす角度 | 上下顎が前突傾向にあると減少する |
U1 to FH | 上顎前歯歯軸とFH平面がなす角度 | 前歯が前方に傾斜して前突傾向になると増加する |
U1 to SN | 上顎前歯歯軸とSN平面がなす角度 | 前歯が前方に傾斜して前突傾向になると増加する |
L1 to Mandibular plane | 下顎中切歯歯軸をMpがなす角度 | 下顎前歯が前方に傾斜すると増加する |
FMIA (L1 to FH) | 下顎中切歯歯軸とFH平面のなす角度 | 下顎前歯が前方に傾斜すると減少する |
上記の角度は、Downs法とNorthwestern法を混在して記載してある。実際の臨床では、この項目はどちらの方法かということは、問題にならないからである。ただし、上記にはDowns法におけるA-B平面角(A-B plane angle)、咬合平面角(cant of occlusal plane)、咬合平面に対する下顎中切歯歯軸角(L1 to occlusal plane angle)、そして上顎中切歯突出度(distance U1 to A-P)の項目は除外してある。他方、Northwestern法におけるSN平面に対する下顎下縁平面角(SN plane to mandibular plane angle)、SN平面に対する上顎中切歯歯軸角(U1 to SN plane angle)、咬合平面に対する下顎中切歯歯軸角、そして顔面平面に対する上顎中切歯切縁の位置関係(distance U1 to facial plane)の項目は除外してある。
顔面角
顔面平面(N-Pog)とFH平面を結んだ線のなす角度
上顎突出度
A点が顔面平面よりも前方にあるときをプラス、後方にあるときをマイナスとし、オトガイに対する上顎歯槽基底部の前後的な位置関係を評価する。プラスの場合に上顎歯槽基底部が前方位、マイナスの場合にオトガイが前方を示す。
Y軸角
Y軸(S-Gn)とFH平面を結んだ線のなす角度 (SN平面ではないことに注意)
SNA
SN平面とNとAを結んだ直線のなす角度 (U1 to SNとの違いに注意)
SNB
SN平面とNとBを結んだ直線のなす角度
ANB
NとA、NとBを結んだ直線のなす角度
FMA (Mp to FH)
下顎下縁平面とFH平面とのなす角度
Gonial angle
Ramus planeとMandibular planeがなす角度
Interincisal angle
上下中切歯歯軸がなす角度
U1 to FH
上顎前歯歯軸がFH平面がなす角度
U1 to SN
上顎前歯歯軸がSN平面となす角度
L1 to Mandibular plane
下顎中切歯歯軸がMpとなす角度
FMIA(L1 to FH)
下顎中切歯歯軸とFH平面のなす角度
各計測点の定義、基準平面については以下を参照↓