
2017年5月9日午前10時半頃、当時日本医科大学4年生であった渡邊祐介容疑者(当時30歳)が、東京医科歯科大学歯学部附属病院口腔外科外来(顎顔面外科)に、牛刀をもって侵入し、処置中であった歯科医師 名生邦彦医師(当時41歳)に斬りかかる事件が発生したことは記憶に新しいだろう。当時の同期のツテをたどって聞いた内容を交えながら書きたいと思う。
東京医科歯科大学歯学部附属病院口腔外科外来(顎顔面外科)で事件は起きた。
事件発生当時、被害者歯科医師の名生邦彦医師は、顎顔面外科外来にて患者処置中であった。そして、10時半頃に「てめぇ、何してくれてんだよ!」と叫びながら侵入してきた男性に、彼は切りつけられた。その犯人は、当時日本医科大学4年生であった渡邊祐介被告(当時30歳)であり、白衣を身に纏い大学病院へ侵入し、白衣の下にナイフだけでなく、刃渡り約21センチの牛刀を隠し持っていた。
名生邦彦医師は、頚部と腹部を刺されたが、周囲にいた助教授らを筆頭に、もみ合いの末に犯人の渡辺祐介被告を取り押さえた。現場は悲鳴と怒号が飛交い騒然とする中、外来を出てすぐ前にある待合フロアで待つ患者さん達へは、マイクにて「急病人がでたのでしばらくお待ちください」とのアナウンスが入った。
受付の職員らが直ちに110番通報をし、警視庁本富士署職員が十数分後に現場に駆けつけた。そして現場で取り押さえられていた渡辺被告を現行犯逮捕。名生医師はガーゼによって応急処置がなされ、担架で歯学部附属病院隣の医学部附属病院へ救急搬送されたが、命に別状はなく、数週間後に退院をすることになった。
事件の背景は?名生邦彦医師の人物像は?
自分は東京医科歯科大学歯学部附属病院を卒業しているため、当然この事件現場となった処置室で実習や処置を行なったことがある。それに加え、名生邦彦医師に実際に抜歯を含め外科治療を教えてもらった経験もあるため、男性歯科医師の人柄や人物像は大体把握している。名生邦彦医師は、平成14年に昭和大学歯学部を卒業して、東京医科歯科大学歯学部大学病院博士課程へ進学したという高学歴だ。
大学病院では、「FNA-FISH法による口腔扁平上皮癌の遺伝子数的異常解析の研究」で2013年〜2016年まで研究を行なっていることが確認できる。
https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-25861913/25861913seika.pdf
渡辺祐介被告の元婚約者、高木万菜さんの経歴は?
事件発生当時、渡邊祐介被告は婚約をしており、その婚約者である高木万菜さん(当時28歳)と、同棲をしていた。彼女は事件発生前年に歯科医師国家試験に合格、同年3月に鶴見大学歯学部を卒業した。歯科医師は歯科医師免許を取得後、1年間の研修期間が義務付けられているため、高木万菜さんはその研修先として東京医科歯科大学歯学部附属病院で研修を終えた。そして、事件発生の2017年より東京医科歯科大学歯学部附属病院 顎顔面外科にて医員として働き始めた。在学記録が下のURLに記録が残っている。
医員であっても、上級医の指導が当然必要となるため、そこで高木万菜さんの指導医が名生邦彦医師となったことが、この事件の発端であった。

渡辺祐介被告がキレた?高木万菜さんと名生邦彦医師との不倫関係?
上記のような経緯で高木万菜さんと名生邦彦医師が同じ医局員となった。しかし、ではなぜそこで渡辺祐介被告が犯行に至ったのか?それは、高木万菜さんのインスタグラムに、名生邦彦医師が一緒に写っていたことが原因で口論になったことが始まりであった。
具体的には、2017年4月29日のインスタグラムにおいて、写真と一緒に『私の師匠の誕生日♪素敵な後輩とお祝い♪仕事量多いけど毎日楽しいです』投稿がなされた。
渡辺祐介被告は事件後の供述において「指導医ということは知っていたが、一緒に写真を撮るのはおかしい」と激昂し、この渡辺祐介被告の嫉妬心に火がついてしまったと考えられる。
原因は渡辺祐介被告の焦燥感と嫉妬?
渡辺祐介被告と高木万菜さんは当時、婚約関係にあった。また、渡辺祐介被告は医師となる道が約束された医学部生であり、高木万菜さんは美人歯科医師である。それを考えると世間的には恵まれたカップルであると言わざるを得ない。
しかし、渡辺祐介被告は一度別の大学(薬学部)に在籍しており、そこから再度医師を志して、日本医科大学に再入学したとことがわかっている。
名生邦彦医師は当時40歳であり、 渡辺祐介被告と10歳も離れていたがイケメンであり、尚且つ国立病院としては頂点に君臨する東京医科歯科大学の口腔外科医である。一方で、再受験をして30歳にもなってまだ医学部生である自分との間に圧倒的な力の差を感じ、そこで生じた嫉妬心が憎悪へと変わっていったと考えられる。
渡辺祐介被告のその後と判決は?
渡辺祐介被告には、2018年9月の2審で懲役7年の実刑判決が言い渡されている。
東京都文京区の東京医科歯科大歯学部付属病院で、男性歯科医師を刺したとして、殺人未遂と銃刀法違反の罪に問われた元日本医科大生、渡辺祐介被告(31)の控訴審判決公判が25日、東京高裁で開かれた。合田悦三裁判長は、「被告に殺意があったとした1審の判断は正当」として、懲役7年とした1審東京地裁の裁判員裁判判決を支持、被告側の控訴を棄却した。
弁護側は「被告には殺意がなかった」と主張していた。合田裁判長は、被告が牛刀で攻撃した後、仰向けの被害者にまたがり、顔などに向かってペティナイフを繰り返し振り下ろしていることなどから「被害者の生命を侵害する危険性のある行為であることは疑いようがない」と指摘。1審に続いて殺意を認定した。
1、2審判決によると、渡辺被告は平成29年5月9日、病院の診療室で40代だった歯科医師の首や胸を牛刀などで刺し、約3週間のけがを負わせた。
2018.9.25 20:09更新 産経ニュースより
医師を志すものとして、ありえない行動であり、しっかりと罪を償って欲しいと思う。
名生邦彦歯科医師のその後は?そして現在は?離婚も?
名生邦彦医師は、事件後しばらくして、医局人事により退局(つまり医局を辞める)することになりました。あの事件以降は、医局内で厳戒令が敷かれ、事件内容に触れないようお触れが出たとのこと。名生邦彦医師の行方は暫くはっきりとわかっていなかったが、現在の職場の記載を発見した。当時の奥さんとは離婚が成立しているとの情報もある。
名生邦彦医師は現在、群馬県立がんセンターにおいてシニアレジデントとして働いている旨の記述あり↓
http://www.gunma-cc.jp/pages/3/18/117/
事件当時の筆者とその周囲の反応は?
当時、この事件が発生した時は自分は当然その場にいなかったため、現場を見ることはできなかったが、医科歯科出身の同期同士のメールが鳴り止まなかった。テレビ番組でも東京医科歯科大学歯学部附属病院の上空を、取材班のヘリが往来しており、現場を撮影している状況が報道されていた。嫉妬心で人を殺めようとするのは、正直許されないし、また渡辺祐介被告も将来有望であっただけに非常にもったいない。実刑に服して反省をしてもらいたいと思う。
一方で、名生邦彦医師はある意味で、相当なる『とばっちり』を受けてしまった感じである。医局の後輩と写真に映ったくらいで、その婚約者に刺されてしまった上に、医局を辞めざるを得ない状況までになってしまった。この事件は『イケメン口腔外科医の先輩を、調子に乗った少しばかりかわいい女歯科医師が一緒に写真を撮ったら、それに嫉妬心と劣等感を感じた婚約者医大生が起こした事件』とまとめられる。
名生邦彦医師と高木万菜さんとの間に不倫関係があったかどうかはわからないが、やはり女と金には注意したい。
東京医科歯科大学附属病院の闇
東京医科歯科大学は、東京の中心に位置し、医学部は日本のトップレベル校の一つであり、かつ歯学部も全国の歯学部の中の頂点に君臨している為、事件が起こると何かと注目を集めやすい。以前も、大学病院となりのMDタワーの非常階段で、ホワイトニングの治療を装って痴漢を働いた歯科医師が逮捕された事件があったが、直ぐにニュースになった。
しかし、大学病院とはある意味で、一つの共産主義国家のようで教授を頂点として統率がとられているため、内部の情報が出にくいものだ。実際にこれまでも、メディアには一切報道されずに内部で揉み消された事件や事故が、複数件存在していることを筆者は知っている。
また、いずれ何か事件があった時には何か書きたいと思う。